多くの医学部生は卒業後、医師としてのキャリアを選ぶでしょう。

しかしながら、医学部を卒業しても医師以外のキャリアを選ぶ人も一部いることも確かです。

本コラムでは、医学部を卒業して医師にならない人がどのような道を進んでいるのかを紹介します。

医学部卒業後の選択肢を知り、将来的なキャリアのイメージを広げてみてくださいね。

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医学部を卒業して医者にならない人はいるのか?

結論として、医学部を卒業して医師にならない人は一定数います。

医師国家試験に合格した医学部卒業生の大多数は、そのまま研修医として2年間の臨床研修を行います。

臨床研修を終えたら勤務医や開業医としてのキャリアを築くのが一般的な流れとされています。

一方で、医師国家試験に合格しても研修医にならず別のキャリアを進む医学部卒業生がいるのも確かです。

また、医師国家試験に合格できずに医師としてのキャリアを選ぶことができない人も存在します。

本コラムでは、医師国家試験に合格し、研修医を経て医師を目指すことができるにもかかわらず医師以外のキャリアの選択肢を取る人にフォーカスすることにします。

医学部卒業後に医者にならない人の割合は?

医学部卒業後に医師にならない人がどのくらいの割合なのかを知ることからスタートしましょう。

厚生労働省のデータから、医師国家試験合格者がどんな働き方をしているかを知ることができます。

公表されている最新データ(2020年)によると、医師国家試験の合格者が従事する施設や業務は以下のとおりです。

主な施設・業務別の医師数(2020年)

主な施設・業種病院・診療所行政機関医育機関以外の教育・研究機関保健衛生その他の業務
医師数と構成割合323,700名(95.3%)1,805名(0.5%)1,474名(0.5%)1,083名(0.3%)777名(0.2%)

最も大きな割合を占めるのは、やはり病院・診療所で働く医師です。

臨床研修医はもちろん、研修修了後もそのまま医師として働き続けたり、独立して診療所の開業医になったりする医師が含まれています。

一方で、医師国家試験の合格者として別のキャリアを歩むパターンもわずかな割合ながら存在しています。

行政機関での公務員としてのキャリアが代表例で、医師国家試験合格者全体の0.5%が該当します。

また、医師を養成する機関以外で教育・研究に従事する人が0.5%、医療・医学とは一切関係のない業務を選ぶ人が0.2%いることも事実です。

医師国家試験に合格したら、そのまま医師として働くケースが最もメジャーですが、およそ「20人に1人」程度は別のキャリアを選んでいるとも結論付けられます。

参考:厚生労働省 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況

医者以外の道を選ぶ人のよくある理由

続いては、医師以外の道を選ぶ人の事情について理解しましょう。

さまざまな目的や理由がありますが、本章ではよくある理由を3つ紹介します。

興味のある他の職業を見つけた

最も多いとされるのが、医学部入学後にキャリアの選択肢が広がったケースです。

最初は医師になるつもりで医学部に入学したものの、医学や関連分野の学びの中に将来やりたいことが見つかったという流れです。

きっかけとして多いのは、医療現場以外の福祉・介護系事業所での実習やボランティア体験です。

医学部を学ぶ環境に身を置いて初めてリアルに知ることのできたキャリアを志す人が一定数いると言えます。

学問内容がイメージと違った

医学を実際に学んで感じる良さがある一方、想像していた内容と異なっていたというケースも存在します。

人命を預かる職業になるための学問として、非常に幅広く膨大な量の勉強をするのが医学部の特徴です。

医学部生は多くの時間を勉強に割くからこそ、想像していた学問のイメージとのギャップを感じやすいとも言えます。

結果として、自身のキャリアプランを変更して医師以外を目指し始めるという流れです。

要するに、医師国家試験に合格することを目標とし、医師として働くことをキャリアプランから外すということです。

医師国家試験のためには医学部卒業が必須になるので、目標を切り替えて残りの医学部生活を送るというモチベーション管理の意味合いも含まれていると言えます。

目標がそもそも異なっていた

最初から医師を目指していなかったというケースもわずかにあります。

医学部合格・卒業というブランドのために医学部を選んだ人や、医師国家試験に合格して医師免許を取得することが目的だった人など、ハイレベルな学部・国家資格だからこそのケースです。

また、医師免許を持っていないと就けない職業を目指したり、医師免許を別の道で活かすプランがあったりする人も該当します。

どんな理由にせよ、医学部入学・卒業と医師国家試験合格をつかみ取るほどの強い熱意があったことは間違いありません。

医者以外の道の例

本章では、医学部卒業後の医師以外の選択肢についていくつか紹介します。

医師免許を活かして働く上で、興味を持てる職業がないかチェックしてみましょう。

医系技官

行政機関での働き方の代表例と言えるのが「医系技官」です。

厚生労働省管轄の組織に配属され、公務員としてキャリアを積むことができます。

医系技官としての仕事は、医師免許を持つ専門家として保健医療の制度づくりを行うことにあります。

医師としての専門性を備えつつ、行政官としてのマネジメント能力が求められる非常にハイレベルな職業です。

求められるスキルは高いですが、国家公務員という安定した立場に魅力を感じる人も多いです。

また何より、国の政策を作るという大きなやりがいを感じることができるため、医師免許を持つ人には人気の高い職業です。

研究員

専門分野を持ち、臨床研究を進めることを主な業務とする「研究員」に進む人もいます。

研究センターや研究所と言われる法人に就職し、多職種と連携しながらデータ収集・解析などをとおして医学の発展に向けた研究を行います。

時給制の求人も多いですが、家庭との両立を考えて働きたい人には向いているかもしれません。

就職先にもよりますが、臨床データを採集するために医師として患者の診療を兼ねる場合もあります。

ただし主な業務は「研究」なので、自分の強い興味を活かして医学の新たな進歩を築き上げたい人におすすめです。

メディカルドクター

製薬業界で活躍する「メディカルドクター」も、医師以外の選択肢として高い人気を誇っています。

メディカルドクターの主な仕事は、新薬開発・販売に関わる医学的な知見からの貢献です。

治験や臨床現場からのデータを解析し、より良い新薬を開発できるようにすることが役割です。

医療業界とは一線を画す一般企業での就職になるため、ビジネスマナーやチームマネジメントといった企業人としてのスキルを強く問われる傾向にあります。

そのため、学生時代にアルバイトや部活でリーダーポジションを務めた経験がある人や、他の一般企業からの転職者が活躍しやすいと考えられます。

ベンチャー企業経営者

医学部ブランドを求めて医学部入学を選んだ人に多い選択肢が「ベンチャー企業経営者」です。

医師免許という信頼性の高い肩書を活かし、医療系のベンチャー企業を立ち上げる流れも見られます。

医療現場やヘルスケアを題材に、新たなITサービスを導入したり医療系人材のサポートを提供したりという例が見られます。

事業が軌道に乗れば医師以上に稼ぐこともできるだけでなく、例え失敗しても医師免許を活かして再就職しやすいというのがチャレンジしやすい理由のひとつです。

教育業界の経営者・企業人

医学部入試に向けた受験勉強や入学後の学習、医学部生に人気の塾講師・家庭教師アルバイトをとおして「教育」への熱意が高まることも、医学部生活では少なくありません。

医師国家試験に合格後、受験勉強や医学部での勉強をそのまま活かして教育業界へ転身するケースがあります。

受験生時代から膨大な勉強量をこなしてモノにしてきた経験は、市場ニーズの観点からもビジネスに直結しやすいと言えます。

未来の医師を教育する立場に魅力を感じる人が選ぶキャリアのひとつです。

医者にならない場合も医師免許は取っておいた方がいいのか

最後に、医師免許の重要性について理解しておきましょう。

結論として、医学部入学後に医師以外のキャリアを歩むことを決意したとしても、医師免許を取得しておくことは非常にメリットが大きいです。

理由は大きく分けて3つありますが、1つめは「食いはぐれない」ということです。

厚生労働省の「医師需給分科会」では、医療現場における医師不足が議題として取り上げられ、長期的に対策が検討されています。

そのため、医師免許を取得しておくことで、万が一の場合にも大きな収入を得られる医師という職業に就くことができます。

医師免許を取得しておくべき2つめの理由は、保健医療業界に限らずさまざまな業界で医師という肩書きによる恩恵があるということです。

最難関の医学部に入学し、カリキュラムを全て修了して初めてチャレンジできる医師国家試験に合格した証明になる医師免許は、さまざまな国家資格の中でも高い信頼性を誇ります。

そのため、教育・コンサル業界を始めさまざまな業界人とのコネクションを深める上で非常に役立ちます。

最後に、医学部卒業後に医師国家試験を受験することが一般的になっているという点です。

医師国家試験の受験者は毎年約10,000人程度ですが、そのうち9,000〜9,500人程度が新卒者となっています。

この数値は毎年の医学部入学者数とほぼ同数のため、「医学部卒業=医師国家試験の受験」という構図が生まれていると言えます。

医学部を卒業したのに、あえて医師免許取得へのチャレンジをしないというケースはほとんどないことが分かります。

以上の理由から、医師にならない場合でも医師免許を取得する重要性は高いと結論付けられます。

参考:厚生労働省 医師国家試験の合格発表について

まとめ

本コラムでは、医学部卒業後のキャリアとしての「医師以外の選択肢」について紹介しました。

わずかな割合ではありますが、医学の知見や医師免許を活かして多職種でのキャリアを実現している医学部卒業生がいることが分かりました。

データが示すように、医学部に進学したからと言って将来的に必ず医師になる必要はありません。

医学部での学びを経てさまざまな選択肢を知るという楽しさを感じながら、自分の納得できるキャリアプランを考えてみてくださいね。

関連コラム:医学部受験をする方へ、基礎データを紹介!

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この記事の監修者 山崎 敬太

山崎 敬太

筑波大学人間学群心理学類 卒業。

大学卒業後、英語講師として、難関大・医学部・看護学部・看護学校の志望者計300名以上に指導経験をもつ。

その後、小中高生向けキャリア教育事業の施設長として、生徒やご家族へ進路の相談援助を実施。

現在は医学部・看護学部・看護学校受験向けメディアのライターとしても活動中。

医学部や看護学部・看護学校の受験生に向けて、役立つ入試情報等を発信。