「医師になりたい!」と一括りに言っても、医師としての働き方は診療科ごとに大きく異なります。

これから医師を目指そうと考えている人にとって、診療科の種類やそれぞれでの働き方について情報収集することはとても大切です。

このコラムでは、医師が働く診療科の種類について、『勤務医の就労実態と意識に関する調査』で取り上げられている12の分類で診療科を取り上げて、各科における医者の仕事内容を紹介していきます。

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診療科の種類①内科

まずは内科について確認していきます。

仕事内容の概要と年収、労働時間、そして仕事への満足度については以下のとおりです。

■内科の仕事内容と特徴

仕事内容内臓や血液といった身体の内側の疾患を扱う診療科
年収1,247万円 (7位/12位中)
労働時間43.4時間/週 (2位/12位中) ※1
仕事への満足度56.7% (9位/12位中) ※2

※1 労働時間が短いほうが上位

※2 「満足している」「まあ満足」の回答数の割合

内科では身体の内側の疾患を扱い、手術ではなく投薬での治療を主に行います。

内科には呼吸器内科や循環器内科、神経内科などさまざまな専門分野が存在しています。

各内科を合わせると10万人以上の医師が従事していて、医師の数が最も多い診療科です。

実際に内科で働く医師の仕事に対して満足している割合は56.7%と、各科の中では順位が低くなっています。

満足度が低い要因としては、内科は専門分野が多々あるため、自身の得意としている分野以外であっても内科医として診療にあたる必要があるためと推測されます。

それでも多くの医師が内科を選んでいるため、人気の診療科といえるでしょう。

参考:令和2年(2020年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況

診療科の種類②小児科

続いては小児科について確認します。

仕事内容の概要と年収、労働時間、そして仕事への満足度については以下のとおりです。

仕事内容子どもの疾患を扱う診療科
年収1,221万円 (9位)
労働時間52.0時間/週 (9位)
仕事への満足度61.0% (4位)

小児科は子どもの疾患を扱う診療科です。

乳幼児から小学生、そして中学生や高校生といった幅広い年齢層の子どもたちを診療するため、小児科医は医師としての幅広く深い知見が問われます。

年収と労働時間はそれぞれ第9位と、各科の中では良い位置につけているとはいえません。

それでも仕事への満足度を感じている小児科医の割合は61.0%と高い数値を残しています。

子どもが好きで小児科を選んだ医師にとっては、診療をとおして子どもたちに貢献できることからも満足感を味わいやすい診療科と考えられます。

また、学会・研究会等への参加日数の平均が年間10日以上という点も、仕事への満足度に影響している可能性があります。

子どもたちとかかわりながら、医師としてのスキルを日々アップデートできる環境が小児科にあるといえるでしょう。

診療科の種類③外科

本章では外科医の仕事内容と年収、労働時間、そして仕事への満足度について整理します。

仕事内容手術による治療を扱う診療科
年収1,374万円 (3位)
労働時間52.5時間/週 (10位)
仕事への満足度56.3% (10位)

外科は内科と同様、さまざまな専門分野から成り立っている診療科です。

外科医は手術によって病気や怪我の治療を行うという、医師のイメージを象徴する役割を担っているといえます。

年収は1,374万円で第3位と、非常に高い位置につけています。

一方で、各科の中で労働時間は3番目に長い52.5時間/週で、それも要因となって仕事への満足度も第10位にとどまっています。

外科医の労働時間の長さや満足度の低さは、急患への対応が大きな影響を与えていると考えられます。

外科医の特徴は、急患対応としていつでも出勤できるように待機しているいわゆるオンコールと、実際に急患対応で出勤するオンコール出勤にあります。

オンコールのある働き方をする外科医は96.5%、そしてオンコール出勤が月4回以上ある医師がそのうち29.0%と非常に高い数値です。

非常に多忙な診療科ではありますが、外科で働く医師たちは大変意義深い役割を担っているといえます。

診療科の種類④整形外科

本章では整形外科について確認していきます。

仕事内容運動器の機能改善をための治療をおこなう診療科
年収1,290万円 (5位)
労働時間46.8時間/週 (6位)
仕事への満足度59.4% (6位)

整形外科で扱うのは、骨や関節、筋肉といった「運動器」の機能改善にむけた治療です。

整形外科の医師は、主に身体の中心となる部位や四肢を治療します。

運動中などの事故による骨折や脱臼、日常的な関節痛やしびれといった症状を診療する役割を担います。

整形外科医の年収や労働時間、仕事への満足度はそれぞれ全診療科のほぼ平均に位置しています。

医師という仕事を考えるときに、整形外科の待遇や働き方が参考になるかもしれません。

整形外科の特徴としては、小児科と同じく学会・研究会等への参加のしやすさが挙げられます。

日常に密接に関連する症状を扱うからこそ、細やかに知識や技術を学び続ける必要性が高い診療科の一つと考えられます。

診療科の種類⑤眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科

本章では、眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科をセットで確認します。

各科の仕事内容と平均した年収、労働時間、仕事への満足度は以下のとおりです。

仕事内容眼科:目に関する症状を幅広く扱う診療科耳鼻咽喉科:耳、鼻、のどを中心とした症状を扱う診療科泌尿器科:泌尿器や生殖器の症状を扱う診療科皮膚科:皮膚や爪に関する症状を扱う診療科
年収1,079万円 (12位)
労働時間44.3時間/週 (3位)
仕事への満足度60.8% (5位)

各科によって扱う症状は異なりますが、科の名前にある部位を中心とした治療を行います。

扱う部位に関してはどんな症状でも診察することになるため、深い知識が問われる専門的な分野といえます。

4科の平均年収は1,079万円で最下位につけていますが、労働時間の短さは第3位、仕事への満足度は第5位となっています。

労働時間が短くメリハリのある医師生活がしやすい点に加え、小児科や整形外科と同様に「学会・研究会等への参加日数」が多い点も満足度の高さに関連していると考えられます。

また、先端医療技術の習得機会が欠如していると「感じない」と回答する医師の割合が高いことも4科の特徴です。

専門的な知識を深め、先端医療のスキルを身につける機会が確保できていることが満足度の高さの要因といえるでしょう。

診療科の種類⑥放射線科

続いては放射線科について確認していきます。

仕事内容MRIやX線などの画像検査や放射線治療を扱う診療科
年収1,103万円 (11位)
労働時間46.1時間/週 (5位)
仕事への満足度62.3% (3位)

放射線科では放射線を用いた検査や治療を行います。

がんの治療法として注目される「放射線治療」を行うのも、放射線科医の役割の一例です。

平均年収は第11位と低くとどまっていますが、労働時間が各科の中では短めで、仕事への満足度も高いデータとなっています。

放射線科医は、先端医療技術の習得機会があると認識している医師の割合が各科の中で最も高くなっています。

また、自身に子どもができた後に「常勤として就業継続できそうか」を調査した結果、放射線科医の92.0%が「続けられると思う」と回答しています。

放射線科は医師の学習環境と働きやすい環境が整っている科の一つと考えられます。

参考:国立がん研究センター中央病院「放射線治療科について」

診療科の種類⑦脳神経外科

本章では脳神経外科について、仕事内容と年収、労働時間、仕事への満足度を確認していきます。

仕事内容神経症状を扱う診療科
年収1,480万円 (1位)
労働時間53.3時間/週 (11位)
仕事への満足度52.8% (12位)

脳神経外科は、神経症状を訴える患者の治療を行う診療科です。

神経症状とは突然起こる痙攣や頭痛、歩行障害や意識障害などさまざまな形で現れる症状です。

さまざまな症状の原因となっている脳や脊髄の異常を見つけ、手術を行うのが脳神経外科医の役割です。

脳神経外科医の魅力は、医師の中でも圧倒的に高い年収です。

全診療科の平均である1,261万円より200万円以上高い年収は、脳神経外科で働く大変さも表しています。

労働時間の長さはもちろんのこと、宿直やオンコール出勤の多さ、年次有給休暇の取得しづらさでいずれも上位につけています。

仕事への満足度が低いのも、このような労働環境が影響していると考えられます。

一方で、脳神経外科のプロフェッショナルになれば救える命が数多く、社会的意義もやりがいも非常に強い診療科ともいえます。

参考:国立国際医療研究センター病院「脳神経外科とは」

診療科の種類⑧産科・婦人科

本章では産科・婦人科について確認していきます。

仕事内容産科:妊婦の検診や出産を扱う診療科婦人科:女性特有の疾患を扱う診療科
年収1,466万円 (2位)
労働時間49.4時間/週 (7位)
仕事への満足度68.7% (2位)

産科は出産に関する治療やケアを総合的に行い、婦人科は子宮などの女性特有の疾患を扱います。

出産を経験する人にとっては欠かせない存在の医師が働いています。

年収は脳神経外科に次いで第2位につけています。

しかし勤務面の大変さとして、日直や宿直の多さ、オンコール出勤の多さ、睡眠不足の認識いずれにおいても高く推移しています。

また、患者からの訴訟リスクを最も強く感じるのも産科・婦人科の医師となっています。

多忙かつプレッシャーのかかる診療科ではありますが、仕事への満足度を感じる医師の割合は第2位の68.7%と非常に高い数値を残しています。

新たな生命の誕生やその過程に携わる仕事として、やりがいを感じる医師も多いのではないでしょうか。

診療科の種類⑨救急科

続いては救急科です。

仕事内容や年収等のデータは以下のとおりです。

仕事内容緊急度の高い患者へ対応する診療科
年収1,215万円 (10位)
労働時間54.0時間/週 (12位)
仕事への満足度58.3% (8位)

その名の通り、緊急度の高い事象にかけつけ対応するのが救急科の医師です。

「いざ」という時に登場し、他のチームと連携しながら事態を収束に向かわせます。

活躍の場は病院だけでなく、災害や大事故の現場であることも少なくありません。

救急科医の年収は1,215万円と第10位で、かつ労働時間も週あたり54.0時間と最長です。

医師不足を感じている科としても、不足を感じる医師の数は麻酔科に次いで多く、緊急対応に加え医師不足での長時間労働が起こっている可能性もあります。

一方で、先端医療技術の習得を十分にできていると感じる医師の割合が最も高いことが興味深い点です。

勤務面での大変さはありますが、緊急対応時には幅広い職種と連携して対応にあたるなど、救急科ならではのやりがいがあるといえるでしょう。

参考:日本救急医学会

診療科の種類⑩精神科

続いては精神科で働く医師について確認しましょう。

仕事内容精神に関する症状を扱う診療科
年収1,230万円 (8位)
労働時間38.4時間/週 (1位)
仕事への満足度58.8% (7位)

精神科は精神的な症状を幅広く扱う診療科です。

うつ病や発達障害、認知症などを専門として診療する医師がいます。

「心の問題」がクローズアップされてきた現代に注目されている診療科です。

精神科での働き方で特筆すべきは労働時間の短さです。

全診療科の平均労働時間である週あたり46.6時間に対し、約8時間も短いということがわかります。

他の診療科医と比べ精神科医は週に約1日ぶん短い労働時間であるといえます。

人の心を扱う大変な仕事ではありますが、最もメリハリをもって働くことができる診療科といえるでしょう。

診療科の種類⑪麻酔科

続いて、麻酔科の働き方について確認しましょう。

仕事内容手術や治療において麻酔を用いる診療科
年収1,335万円 (4位)
労働時間45.8時間/週 (4位)
仕事への満足度69.3% (1位)

麻酔科では手術や治療において麻酔を用いることが特徴です。

また、痛みを和らげるだけでなく、手術中に患者の安全を確保するために全身管理を行うことも麻酔科医の役割です。

麻酔科医の年収は平均を上回る1,335万円で、労働時間も第4位とメリハリをつけて稼ぐことができる診療科といえます。

仕事に満足を感じる医師の割合も第1位となっていて、やりがいをもって働くことができます。

一方で、全診療科のうち医師の不足を「感じる」と回答する医師が最も多いのは麻酔科です。

手術につきものといえる麻酔を扱える医師が増えることが、麻酔科医のさらなる働きやすさにつながるものと推測されます。

診療科の種類⑫呼吸器科・消化器科・循環器科

最後に呼吸器科・消化器科・循環器科をまとめて整理します。

各科の仕事内容と平均の年収、労働時間、仕事への満足度は以下のとおりです。

仕事内容呼吸器科:呼吸に関する症状を扱う診療科消化器科:消化器官に生じる疾患を扱う診療科循環器科:血液循環に関する症状を扱う診療科
年収1,267万円 (6位)
労働時間49.4時間/週 (8位)
仕事への満足度54.1% (11位)

3科で区別が必要なのは、呼吸器科と循環器科です。

呼吸器科は主に呼吸に関する症状を扱うため、気管支や肺といった器官の症状を診断したり治療したりします。

一方で循環器科は、血液の循環に関する器官を扱います。

具体的には心臓や血管などの器官で、不整脈や心筋梗塞といった症状を治療する診療科です。

3科の平均年収は第6位の1,267万円で、医師全体の平均年収と同程度です。

しかし、仕事への満足度は第11位と低くなっています。

要因として考えられるのは、オンコール出勤の多さや年次有給休暇の取得しづらさ、収入に対する不満感などがいずれも高く推移していることです。

労働環境に大きな改善の余地があることからも、医師不足の打開に向けてこれから変化が期待できる診療科ともいえます。

まとめ

本コラムでは、12の診療科それぞれの仕事内容や年収、満足度について整理しました。

年収労働時間の短さ仕事への満足度
1位脳神経外科精神科麻酔科
2位産科・婦人科内科産科・婦人科
3位外科眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科放射線科
4位麻酔科麻酔科小児科
5位整形外科放射線科眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科
6位呼吸器科・消化器科・循環器科整形外科整形外科
7位内科産科・婦人科精神科
8位精神科呼吸器科・消化器科・循環器科救急科
9位小児科小児科内科
10位救急科外科外科
11位放射線科脳神経外科呼吸器科・消化器科・循環器科
12位眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科救急科脳神経外科

各科にそれぞれの特徴があることが理解できます。

一方で、他の職業に比べ、収入と責任がそれぞれ大きいことはどの科においても共通している点です。

医師としてキャリアを形成するため、まずは明確なイメージを形成することを心がけましょう。

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この記事の監修者 山崎 敬太

山崎 敬太

筑波大学人間学群心理学類 卒業。

大学卒業後、英語講師として、難関大・医学部・看護学部・看護学校の志望者計300名以上に指導経験をもつ。

その後、小中高生向けキャリア教育事業の施設長として、生徒やご家族へ進路の相談援助を実施。

現在は医学部・看護学部・看護学校受験向けメディアのライターとしても活動中。

医学部や看護学部・看護学校の受験生に向けて、役立つ入試情報等を発信。