医学と近しい学問として、薬学の存在を知る人も多いのではないでしょうか。

大学受験対策を本格的に始める前に、自分の思い描く将来像に近付けるようそれぞれの学部について理解を深めておくことが大切です。

本コラムでは、医学部と薬学部の違いやそれぞれの特徴について整理していきます。

自分が学びたいことを学べる学部を理解し、受験対策をスタートさせましょう。

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学ぶ内容の違い

医学部と薬学部の違いを理解する上で、学ぶ内容の違いを理解するのが最優先です。

違いを理解するポイントは「どの分野をベースに置いた学問なのか」ということです。

結論として、医学部では「人体と病気」、薬学部では「薬」がベースとなった学問を学べます。

以下でそれぞれの学部の学びを詳しく整理していきます。

医学部

医学部での学びのベースにあるのは「人体と病気」です。

人間の身体構造を理解した上で、起こりうる病気を予防したり、発症している病気を治療して健康を取り戻したりするために必要な学問を学びます。

そのため、人間の身体に関することは全て学習内容となっています。

内臓それぞれの役割や神経伝達物質の働き、骨や関節の構造から眼球や鼓膜の動きまで幅広く必修範囲となっています。

また、人間の身体と病気との関連性を理解することも学問のステップのひとつです。

ある病気の予兆が身体にどのように現れるのか、病気が発症したときにはどのような反応が起こるのかといった事例も学びます。

さらに、一人ひとり異なる身体で医学の知見を活かせるよう、病気の治療や予防を長期間の臨床実習を経て学びます。

症状に応じた治療方針の策定や、投薬や手術の判断、患者とのコミュニケーションなど、医師として活躍するための学びを深めます。

以上のとおり、人体と病気との関連性をベースとして、医療のプロフェッショナルを目指す学問を学べるのが医学部です。

薬学部

薬学部での学びのベースにあるのは「薬」です。

薬を用いて人々の健康や暮らしを支えるための学びを得られるのが薬学部での学問です。

薬学を深めるために不可欠となるのは、化学や生物学といった理科分野です。

ある薬を飲んだときに身体で起こる化学反応を理解したり、身体に及ぼす影響から「飲み合わせ」を考えたりするために必要な知識を学びます。

続いて、薬そのものへの理解を深めるため、医療薬学や臨床薬学、社会薬学といった応用分野を学ぶことになります。

薬の効果や副作用を研究したり、薬と社会の関連性を研究したりします。

薬学知識の土台を整えたら、医学と同様に臨床的な実習を積むことになります。

人々の暮らしと薬との関係を知り、安全に薬を服用してもらうためのプロセスを経験する実習を経て、薬剤師としての学びを深めます。

薬が及ぼすさまざまな影響を理解し、適正な薬の利用を考えることのできるプロフェッショナルを目指せるのが薬学部での学びです。

就職先の違い

本章では、卒業後の進路の視点から医学部と薬学部の違いを整理します。

卒業生に最も選ばれている職業は、医学部では「医師」、薬学部では「薬剤師」です。

その他の進路を含め、各学部からの就職先を以下で確認していきましょう。

医学部

医学部の卒業後は、医師を目指す人が大多数です。

医師国家試験に合格した後、2年間の臨床研修医として医療現場に身を置くことになります。

臨床研修医の働く医療現場は、大学病院を含めた大規模な病院であることが多いです。

そのため、医師を目指す人の就職先としては医療現場、特に大学病院などの大規模な病院からスタートすることが多いと言えます。

以下は厚生労働省公表のデータのうち、最新である2020年の施設別の医師数です。

主な施設別の医師数(2020年)

主な施設・業種 病院 診療所 行政機関 産業医 保健衛生
医師数と構成割合 216,474名(63.7%) 107,226名(31.6%) 1,805名(0.5%) 1,308名(0.4%) 1,083名(0.3%)

参考:厚生労働省 医師・歯科医師・薬剤師統計

臨床研修医を含め全ての医師の60%以上が働くのが「病院」です。

しかし、臨床研修を終えた後はさまざまな選択肢が生まれます。

そのまま病院で医師として勤務を続けることも、準備期間を経て開業医を目指すことも可能です。

また、僅かな割合ではありますが医師としての知見を活かして行政機関の公務員としてキャリアを築く選択肢も生まれます。

保健医療に関わる制度づくりを担う「医系技官」や、多職種で連携しながら地域の保健医療を支える「公衆衛生医師」が代表例です。

その他にも、大学院でより専門的な知識を身に付けて研究員になったり、民間企業で産業医を担ったりすることも可能です。

結論として、まずは臨床研修ができる病院へ就職し、研修や実務経験を積んでからさまざまなキャリアを選択できるようになるのが医学部卒業後の就職ルートと言えます。

薬学部

多くの薬学部は薬剤師国家試験の合格を目指したカリキュラムを組んでいます。

卒業見込みの段階で薬剤師国家試験を受け、合格したらそのまま薬剤師として就職することができます。

主な施設別の薬剤師数(2020年)

主な施設 薬局 医療施設 医薬品関係企業 衛生行政機関・保健衛生施設
医師数と構成割合 188,982名(58.7%) 61,603名(19.1%) 39,044名(12.1%) 6,776名(2.1%)

参考:厚生労働省 医師・歯科医師・薬剤師統計

厚生労働省公表の最新データによると、2020年の薬剤師の就職先として最も多いのは「薬局」で、次に多いのが病院などの「医療施設」です。

薬局や医療施設で働く薬剤師は、処方箋をもとに薬を調剤したり患者とコミュニケーションをとって服用のアドバイスを提供したりします。

また、医薬品を扱う民間企業へ就職し、医薬品の研究や開発に関するデータ管理や資料作成を担う薬剤師も一定数いることが分かります。

医療現場に限らず、薬を取り扱う施設・企業を中心に多くの就職先の選択肢があるのが薬剤師です。

入学後の大変さの違い

本章では、医学部・薬学部に在籍している中での「大変さ」を紹介します。

いずれも他学部と異なり6年制での学びとなる点や、特徴的な実習が必修である点などが共通しています。

一方で、単位取得や単位の内容には細かな違いが現れているので以下で確認していきましょう。

医学部

医学部生の大変さは、大きく分けて2つあります。

1つめは、単位を取得するにあたって多くの試験に合格しなければならない点です。

他学部では、所定の出席回数をクリアしたり成果物を提出したりすることで取得できる単位が一定数存在しています。

一方で、医学部での単位の取得要件は、試験での合格が必須になっていることがほとんどです。

試験期間に限らず、学期中にも試験が立て続けで実施されることもあるので、毎月のように試験対策をする必要があります。

2つめは、実習の比率が非常に高い点です。

医療機関での実習はもちろんですが、医療に関連する看護や福祉の現場を体験する実習も設定されています。

また、実習を受ける前に合格しなければならない「共用試験」があることも、試験対策の比重を高めています。

試験も実習も膨大な数をこなさなければならない点が、医学部生が感じる大変さと言えます。

薬学部

薬学部生が感じるハードルのひとつは、4年生で受験する薬学共用試験と言えます。

薬学部5年生からスタートする実習は、病院での11週間、薬局での11週間で合計22週間と設定されています。

医学部と同様で、共用試験に合格することが実習への参加要件となっています。

薬学共用試験の合格率は95%以上で推移しているので決して難しい試験ではありません。

しかし、卒業するために必ず突破しなければならない公的な試験である薬学共用試験は、薬学部生にとって大きな関門になります。

卒業見込みを経て受験する薬剤師国家試験を考えれば、6年間で少なくとも2つの大きなハードルがあるのが薬学部生の大変さと言えます。

入試の難易度の違い

続いては、医学部・薬学部それぞれの入試難易度について確認します。

最難関大学ではそれぞれの学部偏差値は70以上となっており、入学のためにはいずれも非常に難易度の高い入試に立ち向かうことになります。

それぞれの入試の特徴について確認していきましょう。

医学部

国公立大学では偏差値65.0~72.5、私立大学では偏差値62.5~70.0に多くの医学部が存在しています。

医学部の入試の特徴は以下の2点です。

1つめは、国公立大学において共通テストよりも個別学力検査の配点比率が高くなっている医学部が多い傾向にあります。

そのため、共通テストの得点力だけでは突破できないのが医学部入試の難しさと言えます。

2つめは、国公立大学・私立大学いずれも面接試験が必須であることです。

共通テストという通過点をクリアしたとしても、ハイレベルな得点力を求められる個別学力検査において面接対策もしっかり行わなければなりません。

以上より、偏差値で見る以上に難易度が高いのが医学部入試です。

薬学部

国公立大学では偏差値65.0~70.0、私立大学では偏差値45.0~65.0に多くの薬学部が存在しています。

薬学部の入試科目として、私立大学では「英数理」が課されることが多く、国公立大学の個別学力検査においても同じく「英数理」が課されることが多いと言えます。

偏差値が高い薬学部では、個別学力検査の配点比率が高い傾向がありますが、共通テストでリードをとることができる配点の薬学部も存在します。

また、医学部と異なり面接試験は必須ではないので、科目対策に特化して受験することが可能です。

また、私立大学では偏差値が非常にばらついているため、志望校を絞りすぎなければ入試難易度も高くなりすぎないと考えられます。

どちらの学部を選んだらいいか?

最後に、どちらの学部を選ぶか悩んだときの判断基準を紹介します。

どんな学問・働き方に興味があるのかを整理して考えてみてくださいね。

医学部を選ぶと良い人

前述したように、医学部での学びは「身体を理解して病気を予防・治療する」ことです。

医師として治療を行い、人々を救いたい思いがある人には医学部が向いていると言えます。

進路決定にあたって、自分が将来「医療行為」を行いたいかどうかをしっかり考えてみてください。

病気を診断したり薬を処方したりする「医療行為」は、医師免許を持った人にしかできない行為です。

医療行為によって社会へ貢献したい人は、医学部への進学を志すことをおすすめします。

薬学部を選ぶと良い人

薬学部の学びのベースは「薬」です。

薬という手段を使って、人々の暮らしをさらに良くしたい人におすすめの学問です。

薬局で患者の服薬をサポートすることも、民間企業や研究機関で新薬を開発したり広めたりすることも、公務員として地域の人々の健康増進にかかわることも、薬学部で学んだことが土台となって行われています。

薬剤師としてのさまざまな働き方をイメージして魅力を感じたら、薬学部への進学が将来のキャリアビジョンを実現することにつながるでしょう。

自分の希望に合った選択を

本コラムでは、医学部・薬学部それぞれの違いをさまざまな視点から整理しました。

いずれも国家資格を取得することができ、人々の暮らしや健康を強力にサポートできるプロフェッショナルになれる学部です。

各学部への入学は、自分自身のキャリアビジョンを実現するための「手段」のひとつです。

だからこそ、さまざまな視点からの検討をする中で、深く納得できる志望理由を見つけてみてください。

受験対策に専念できるよう、自分の希望に合った学部を選択してくださいね。

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この記事の監修者 山崎 敬太

山崎 敬太

筑波大学人間学群心理学類 卒業。

大学卒業後、英語講師として、難関大・医学部・看護学部・看護学校の志望者計300名以上に指導経験をもつ。

その後、小中高生向けキャリア教育事業の施設長として、生徒やご家族へ進路の相談援助を実施。

現在は医学部・看護学部・看護学校受験向けメディアのライターとしても活動中。

医学部や看護学部・看護学校の受験生に向けて、役立つ入試情報等を発信。