
2021年度入試からはセンター試験に代わり、大学入学共通テストを受験することになりますが、これまで同様、国立大学医学部では2段階選抜方式が取られ、第1段階選抜(通称「足切り」)が行われるでしょう。
2次試験の受験資格を得るためには、まずこの足切りを突破することが必須となります。
最新の状況を踏まえて対策を立てていきましょう。
前期日程の足切り
足切りとは、出願者の人数の倍率や特定の得点によって2次試験の受験者数を制限する制度です。
足切りのラインを超えないと、そもそも2次試験を受験できなくなってしまいます。
国立医学部はそもそも前期後期それぞれ1校ずつしか出願できないので、貴重な受験機会を逃してしまわないよう、注意しましょう。
前期後期で足切りのボーダーも大きく異なります。
一般に後期日程の方が受験生が集中するため倍率が高く、要求される水準も高い傾向にあります。
参考として最新の2020年のセンター試験の国公立大学医学部前期日程の足切りラインを見てみましょう。
2020年足切り(%) | 大学名 |
78 | 大分大学医学部 |
77 | 熊本大学医学部 |
金沢大学医学類 | |
75 | 新潟大学医学部 |
浜松医科大学医学部 | |
名古屋市立大学医学部 | |
74 | 高知大学医学部 |
73 | 千葉大学医学部 |
72 | 神戸大学医学部 |
大阪市立大学医学部 | |
71 | 秋田大学医学部 |
東京医科歯科大学医学部 | |
70 | 京都大学医学部 |
大阪大学医学部 | |
68 | 東北大学医学部 |
東京大学理科3類 | |
67 | 徳島大学医学部 |
64 | 横浜市立大学医学部 |
倍率2〜3倍のところで区切られる大学が多いですが、年によっては足切りが行われないこともあります。
2020年に前期で足切りが行われたのは上記の18校でした。
ちなみに鳥取大学医学部、名古屋大学医学部(2021年度〜)ではそもそも足切りの制度が設けられていません。
足切りの制度も大学によって異なります。
出願者の倍率で区切る大学が大半ですが、名古屋市立大学医学部、神戸大学医学部、大阪市立大学医学部の3校では特定の点数によって足切りがなされます。
さらにこの2つの制度を組み合わせて、倍率と得点の両方の基準を設けているのが京都大学医学部、大阪大学医学部、徳島大学医学部です。
受験において最高峰の難易度を誇る東京大学理科3類の足切りラインがたった68%であるのを見ても分かるよう、前期日程は後期日程ほど足切りラインが高くはありません。
国公立大学医学部合格を本気で目指す受験生であれば、前期日程の足切りラインはそれほど気にしなくても大丈夫です。
後期日程の足切り
次に2020年センター試験の国公立大学医学部後期日程の足切りラインを見てみましょう。
全ての大学の医学部で後期が設けられているわけではありません。
2020年足切り(%) | 大学名 |
91 | 東京医科歯科大学医学部 |
86 | 福井大学医学部 |
85 | 宮崎大学医学部 |
84 | 浜松医科大学医学部 |
鹿児島大学医学部 | |
83 | 旭川医科大学医学部 |
82 | 岐阜大学医学部 |
三重大学医学部 | |
奈良県立医科大学医学部 | |
80 | 山梨大学医学部 |
名古屋大学医学部 | |
79 | 秋田大学医学部 |
77 | 千葉大学医学部(一般枠) |
山口大学医学部 | |
76 | 佐賀大学医学部 |
後期日程で足切りが実施されたのは上記の15校です。
千葉大学医学部後期日程(地域枠)、富山大学医学部、香川大学では足切りが実施されませんでした。
しかし合格するためには最低でも90%、できれば95%以上の得点率が欲しいところです。
大学入学共通テストで思うように得点できなかったときは、足切りが低く、かつ総合点に占める大学入学共通テストの点数の比重が小さい大学に出願すると良いでしょう。
後期日程には一般枠のほか、地域枠が含まれる大学もあります。
また、香川大学医学部、愛媛大学医学部で後期日程が廃止されると発表があったように、制度が変更される大学もあるので、出願要項を各自よく確認してください。
2021年入試はどうなる?
2021年度入試日程はどうなるのでしょうか。不安に感じている受験生も多いでしょう。
新型コロナウィルス感染症感染拡大の影響もあり、入試日程にも大きな変更が見られるので、適宜最新の告示を確認しましょう。
大まかには以下の表の通りです。
9/28〜10/8 | 大学入学共通テスト出願受付 |
1/16、1/17 | 大学入学共通テスト(第1日程) |
1/25〜2/5 | 前期日程出願受付(第1・2日程) |
1/30、1/31 | 大学入学共通テスト(第2日程) |
2/13、2/14 | 大学入学共通テスト(特例追試) |
2/15〜2/18 | 前期日程出願受付(特例追試) |
2/25〜 | 前期日程試験日 |
3/12〜 | 後期日程試験日 |
3/22〜 | 前期・後期日程(追試験) |
現役生であれば大学入学共通テスト第1・2日程のどちらでも選択可能です。
長期休校による学習の遅れがある場合は出願時に特例追試を選択することも可能とされています。
2次試験対策との兼ね合いもあるので、多くの受験生は大学入学共通テスト第1日程を受験することが予想されます。
第2日程を受験する場合、第1日程の傾向を元に対策できることと、学習期間に猶予があることは有利ですが、前期日程出願締め切りまでの猶予があまりない点がネックになります。
日程的にも第1日程受験者の自己採点のみを元に集計して足切りラインが発表されることになるでしょう。
2021年入試から出題形式も、従来のセンター試験型問題から新傾向問題に変わります。
多くの受験生が変化に戸惑いながら迎える入試となるため、安定圏の大学医学部に出願する受験生も増えると予想されます。
今受験生にできることは、小手先の出題形式の変化に惑わされない根本的な学力を身につけることです。
穴埋めのテクニックなどに頼らずともセンター試験の過去問演習で90%〜の得点率を確保できる実力をつけることが重要であることは制度が変わろうとも不変です。
揺るぎない基礎学力こそが医学部合格の鍵となるでしょう。
注意するべきこと
その他注意することとして、2次試験出願には受験科目の指定があります。
必ず募集要項を確認して不足のないように申込み・受験しましょう。
大学入学共通テストの得点は、2次試験出願時にはまだ開示されないので、自己採点に基づいて出願先を決めることになります。
ですから試験の際には必ず自分の選んだ選択肢が後で見て分かるように問題用紙に印を残し、自己採点は正確にしましょう。
マークミスも命取りです。
それでも受験科目の不足で出願が受理されなかった場合や、点数が足りず足切りで不合格となってしまった場合は、検定料返還請求書に必要事項を記入し所定の宛先に郵送しましょう。
各大学のホームページに記載されています。
受理されると検定料の一部が返還されます。