医学部受験を目標としている皆さんは、高校二年生で文理選択や科目選択の壁に当たります。
一方で、高校にあがるタイミングで科目選択を終え勉強をスタートさせている人もいると思います。

本記事では現役医学生の視点から、そのような皆さんの道しるべとなる内容をまとめました。

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物理選択の魅力どのような人にオススメできるか

医学部受験において、多くの人は物理・化学を選択する傾向があります。
現役医学生である筆者も生物選択は同級生に15人しかいませんでした。
なぜ生物選択は少ないのでしょうか。

以下はセンター試験の平均点の推移を表しています。

2020年2021年2022年2023年
物理 60.68 57.8260.7263.39
化学 54.79 51.0647.6348.56
生物 57.56 72.6548.8139.74
地学 39.51 46.6552.7249.85

物理の平均点を比べてみると、毎年あまり変わらず推移しているということが分かります。
ではなぜ医学部受験においては、生物選択は少なく物理選択が多い傾向にあるのでしょうか。

世の中に出回っている参考書が多い

これが一番大きな理由でしょう。
理科は科目の特性上、数学などとは異なり教科書準拠の問題集というものが少なく、初学の段階から市販の参考書に頼ることが多いです。
物理の場合は、生物に比べて参考書が多いため自分のレベルにあった参考書を見つけやすいです!

出題される問題パターンが決まっている

物理は生物とは異なり、出題される問題のパターンが決まっています。
実際に模試を受けたことのある皆さんは「この問題見たことある!」という感覚を一度は味わったことがあるはずです。
一部の大学では過去問の焼き直しに近いことも行われていたりします。

併願校の可能性が広がる

医学部を目指している人の多くは併願校として医学部を選ぶ場合が多いですが、稀に工学系を併願する人もいます(今話題の病理診断などは医療ITの分野です)。
中でも早慶の理工系学部や東京理科大などの理工系学部では物理が必須です。
また理工学系の学部は看護や農学系に比べて多いため、現役合格にこだわる人や併願校で可能性を広げたい人はよく考えなければなりません。

数学や化学との繋がりが見え、受験勉強が楽しくなる

理系特有の数学Ⅲも、物理と同じように入試問題は思考力よりも作業力が必要とされます。
このため少し退屈してしまう人も多いと思いますが、力学や電磁気学といった分野において数学Ⅲの微積分は大活躍します。
化学においても、気体分子運動論や電子軌道の分野においては数学・物理の知識を使います。
化学・物理において教科を横断して知識を運用することで、「暗記教科」としての側面が強い理科の学習を少し楽しくしてくれることでしょう。

また巷で言われている以下の疑問に対しても現役医学生の視点から答えたいと思います。

医学部を目指しているのだから生物選択は当然じゃないの?

結論から言うとどちらでもいいというのが答えです。
物理選択を受け入れている大学の多くは、教養課程で高校生物未習者のレベルに合わせて授業をしてくれます。
授業は教養課程がある一年生で高校生物を一周するイメージです。
完全な未習者に大学の生物の授業は少し難しいですが、生物選択者の同級生に教えてもらうこともでき、すぐに慣れるでしょう。

医学部受験の物理の特徴

医学部受験において出題される物理の問題は大きく分けて二種類に分けられます。

典型問題が用いられる

主に国立大学や総合大学の医学部に多く出題される傾向があります。
この場合は問題が他学部と共通で比較的難易度が抑えられている場合が多いですが、その代わり合格には高得点を取ることが求められます。
難しい問題は解けないが、教科書レベルや典型問題はミスなく処理できる人にオススメです。
穴埋め式で出題されることも多く、東京理科大学や共通テストなどの他の大学の過去問を使うことも有効でしょう。

思考力や数学力などの物理的センスを試す問題が出題される

主に私立の単科医大や一部の総合大学で出題される傾向にあります。
この場合は問題数が少なく時間内に解ききることが難しいため、問題を絞って解くことが重要になります。
一発逆転を狙う人や物理で得点を稼ぎたい人におすすめです。

これらの二つを組み合わせた問題形式の大学もあります。

ex)千葉大学(他学部共通問題+医学部のみの選択問題)

原子物理が多く出題される

他学部の入試と大きく異なってくるのは原子物理の出題頻度が非常に高いということです。
何年か周期で出題されるといったように決まっている大学もあり、過去問研究が非常に重要になってきます。
また、多くの大学では医療機器などの医学モデルと絡めて出題されますが、見掛け倒しのことも少なくありません。
一般的な受験生は共通テスト対策として12月ごろ(直前期から)原子物理の対策を始めますが、医学部受験生であれば年内には典型問題(水素スペクトル・光電効果など)を解きこなせるようになっておけると安心でしょう。

医学部受験の物理を攻略するために必要な力

基本的な計算力 -ミスなく、そして素早く計算する能力-

これは医学部受験に限った話ではないですが、物理は科目の特性上ひとつ前の小問の答えを利用することが多いです。
また穴埋め式の大学も多いため、途中で計算ミスをするとそれ以降の設問が全て不正解というリスクもあります。
逆に言うと設問に従って解いていけば大問まるまる完答することも可能です。

自分の癖を見極める

間違いをパターン化するということはどの科目を勉強するにあたっても重要なことですが、物理においては特に言えることです。
たとえば、どのような時にエネルギー保存則が使えて運動量保存則が使えるのか、など読者の皆さんも一度は悩まされたことがあるでしょう。

ミスが多いポイントはだいたい決まっているので、そこに注意して学習を進めることは高得点を狙ううえで非常に重要です。
それに関する参考書も出版されています。

公式を正しく運用する力(実践力)

入試問題の多くは二つ以上の公式を組み合わせて問題を解くことが必要になります。
他にも暗記色が強い分野もあります(光の干渉など)。
これらは原理をいくら理解しても身に付けることが出来ません。
問題集を繰り返し解くことによってパターン化していくしかないと思います。

医学部受験物理へのアドバイス

よく勘違いされやすいこと

「難関大志望だから難しい問題を解けるようにならないといけない」

これは受験生のときによく陥りやすい勘違いです。
たしかに難関大では難しい問題は出題されますし受験者層のレベルは上がっていきますが、合否を分ける難易度というのは大学間、科目間ではさほど変わりません。
例えば2019年日本医科大学(前期)の問題は数学が難化、物理が易化しました。物理にフォーカスを当ててみるとどれをとっても教科書レベルの基本的な問題ばかりでした。
一方数学に関しては過去最高難易度と言われました。
ではこの年に日本医科大に合格するにはどのくらいの得点率が必要だったのでしょうか。
物理でなるべくミスをしないで数学で大問1つ分くらい得点できれば良いくらいだろうと思う人も多いでしょう。
ある生徒は数学で一問も出来ず記述全て白紙だった一方で、物理で満点を取り特待合格(2200人中30人以内)を頂いたというデータもあります。
ここから分かるのは、医学部の中でも最難関レベルの日本医科大学の入試であったとしても、教科書レベルの問題が完璧に出来るというだけでかなりのアドバンテージになるということです。

過去問を解いている時、難しい問題が多く出来ないと不安になることも多いと思いますが、受験はあくまで「相対評価である」ということと、「基礎レベルを完璧にする」ということはかなりの武器であるということを心にとどめておきましょう。

科目選択以前の勉強

科目選択が終わった高2・高3の受験期では自分のレベルの参考書に従って勉強を進めていけばよいですが、科目選択をする前の高校1年生はどのように勉強を進めていけばよいのでしょうか。
学習を進めていく学校の定期試験の勉強を頑張りましょう。
特に公式を身に付けるということに重点をおいて学習を進めてください。
物理・生物の選択を見極める期間でもあるので薄く広く学んでみることも大切です。
また原子物理の典型的な実験などは高校1年生で行われることが多いですが、こちらも大切にしてほしいです。
受験対策が始まる高2・高3になると、座学の時間が増え実験などの実体験を得ることが難しくなります。
一方で物理の問題は実験をモデル化して考えているものが多く、実験したことがあるかどうかで運動の軌跡や摩擦力の向きなどをイメージしやすくもなったりするでしょう。

問題集の選び方の目安

物理の参考書は沢山市販されているという風に明記しましたが、そこには自分のレベルにぴったり合った問題集を探しづらいというリスクも含んでいます。
どのように問題集を選んでいけばよいのでしょうか。
問題集を解くうえでで最も大事なのは継続力です。
コロコロ違う問題集をやってみたり一回やっただけで身につかないまま問題集を終わらせてしまうことは時間のがもったいないです。

自分が6~7割解ける問題集を選ぶのがおすすめです。
問題集は自分が分かっていない知識を埋める役割とともに、自信をつけるという役割もあります。
また物理は典型問題が多いことからも「理解はしていないけどなんとなく解けてしまう」ということが起こりがちです。

問題集のレベルを徐々にあげていくことで重複する問題も出てくることはあると思いますが、原理をもう一度考え直す機会にもなりよいでしょう。

ここまで医学部受験の物理の特徴に関して、現役医学生の視点でまとめてみました。

記事を参考にして科目選択や勉強法を見直してみましょう。

関連コラム:医学部受験には高1から受験勉強は必要?どんな勉強法でしたらよいか解説

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