医学部受験生、とりわけ私立医学部を受験される方の多くは、繰り上げ合格という仕組みについて聞いたことがあるかと思います。
でも、医学部以外で繰り上げ合格の話を聞くことは少なく、あまり情報もないので、医学部を受験される皆様にとってやや謎な仕組みですよね。
このコラムでは、医学部受験の繰り上げ合格はどのようなものか、また、実際に回ってくるのかについて、医学部繰り上げ合格を経験した医学部生が実体験を交えてお話したいと思います。
目次
そもそも繰り上げ合格とは?
医学部入試には、“正規合格”と“繰り上げ合格”という二種類の合格パターンがあります。
簡単に言ってしまえば、合格発表日当日の発表時間ちょうどに大学から合格を貰えた人が“正規合格者”、発表時間以降に大学から合格を貰えた人が“繰り上げ合格者”になります。
これは、多くの医学部受験生が複数の医学部を受験するため、複数の大学に合格した場合に進学先以外の合格を辞退することにより生じます。
この医学部特有の繰り上げ合格というシステムについて、正規合格とは異なる点に着目しながら、次に詳しくお話しします。
① 合格発表当日の発表様式
大学によって、合格者一覧とともに補欠者一覧が示される大学や、受験者本人にしか合否や補欠者に該当するか否かを伝えられない大学があります。
また、補欠者についても、補欠者の繰り上げ優先順位を公表する大学、しない大学、また、補欠者全体を成績順にABCなどの枠に分類し、Aから順に繰り上げを回していく大学など、大学によって三者三用です。
② 繰り上げ合格の発表方法
正規合格では多くがネット上と大学での掲示によって発表されますが、繰り上げ合格の多くは電話によって伝えられます。
その場で入学意思の有無などを聞かれ、入学する意思のある場合には、入学書類の送付など入学手続きへと進んでいきます。
もし、補欠となった場合にはいつ大学から電話が来るかわからないので、大学に提示したご自身の電話にすぐ出れるように気をつける必要があります。
繰り上げ合格は実際にある?
「ほんとに繰り上げなんて回ってくるの?」と疑心暗鬼な方もいるかと思います。
ですが、これは間違いなく全ての医学部において毎年生じています。
実際に筆者も二校の繰り上げ合格を経験しています。
ここでは、実体験を交えお話しします。
① いつ頃回ってきたか
私の場合、3月の中旬と下旬(3/30)に回ってきました。
繰り上げは3/31にも回ります。
過去には、4月の初め頃になって回ってきた例もあるようです。
② どのような順番で回ってくるか
私が補欠となった学校は、前述のABCのような形で分類される大学と、繰り上げ順位が公表される大学でした。
③ どのように回ってくるか
二校とも、大学から電話がかかってきて、その場で入学の意思を尋ねられました。
その場で答える必要がありますので、電話が来た場合に備えて入学意思の有無を考えておく必要があります。
④ どれぐらい補欠は回るのか
大学によって大きく異なります。
補欠合格が100人以上生じる大学や10数人のみといった大学もあります。
大学のホームページや市販されている過去問集に記載されていることもありますのでチェックしましょう。
繰り上げ合格の希望はある?
今までお話ししたように、繰り上げ合格は必ず生じます。
ですが、期待しすぎてもいけません。
実際に以下のような例がありました。
・第一志望校は補欠、それ以外の医学部から正規合格が来た。第一志望校の補欠順位は、例年の繰り上げ総数と照らし合わせると、間違いなく回ってくるはず。だから、正規合格が来た大学への入学手続きはしないで、繰り上げが来るのを待とう。
(※私立医学部の場合、入学手続きに入学金100万円近くがかかり、入学手続き後に入学辞退をしても入学金は返ってきません。入学金が高額なことを踏まえての判断だったのかと思いますが、他の医学部からの合格は得られず。結果的に浪人することになってしまいました。)
・自分の補欠順位だと、ここ10年ぐらいの繰り上げ総数と照らし合わせても必ず繰り上げが回ってくるはず。医学部合格はまだ一つも持ってないけど、浪人などの準備はせずに遊びながら繰り上げを待とう。(※筆者自身の体験談です。実際に回ってこず、4月近くになって慌てて予備校を探すことになりました。)
繰り上げ合格を当てにしすぎてはいけません。
「回ってきたら嬉しいな」ぐらいの気持ちで待ちましょう。
何よりも、志望校の正規合格を勝ち取ることで一番気持ちよく受験後を過ごせるはずです。
まとめ
繰り上げはどの医学部にも毎年生じます。
ですが、これを期待しすぎてはいけません。
受験生にとって大事なのは「何としてでも医学部の正規合格をとる!!」という熱い気持ちです。
正規合格か、補欠か、また、補欠順位の大小は入試での1点の違いで生じてきます。
入学試験本番では1点でも多くとるという気概を忘れずに戦ってきましょう。