社会人から看護師になるには?3つのステップと知っておきたいことを解説
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本コラムでは、社会人から看護師を目指す具体的なステップやノウハウについて紹介します。
人々の健康な暮らしに欠かせない存在である看護師は、高い人気を集める職業のひとつです。
看護師の道を志すタイミングは人それぞれで、学生時代から看護を学ぶ人もいれば、社会人を経て看護師を目指す人もいます。
社会人から看護師を目指したいと思っている人は、本コラムでぜひ情報収集してください。
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社会人から看護師になる方法
社会人から看護師になるためには、次の3つのステップを順にクリアしていく必要があります。
- 看護大学・専門学校に入る
- 試験に合格する
- 就職する
看護師になるには、どんな人でも看護大学や専門学校で看護学を学ぶ必要があります。
なお、社会人入試制度を設けている学校もあるため、社会人から看護師を目指すルートはしっかり存在しているので安心してくださいね。
看護大学・専門学校で看護学を学んだ後は、看護師国家試験での合格を目指します。
最後に、看護師として働くことができる医療・保健・福祉機関などに就職することで、看護師としてのキャリアをスタートさせることができますよ。
それぞれのステップについては、次章より詳しく解説していきます。
看護大学・専門学校に入る
看護師になるためには、まず「看護大学・専門学校に入る」ことからスタートします。
看護師を目指せる機関は看護大学、看護短期大学・看護専門学校の3種類があります。
看護大学は4年制、看護短期大学・看護専門学校(以下、専門学校)は3年制です。
それぞれの特徴をふまえ、社会人として自分に合った進路選択を考えてみましょう。
卒業年数 | 卒業までの納入金額 | 偏差値 | |
看護大学 | 4年 | 国公立:約250万円 私立:約520万円 | 国公立:50~70以上 私立:48~65 |
専門学校 | 3年 | 約300万円 | 43~60 |
看護大学は国公立・私立で大きく特徴が異なります。
専門学校は3年制ですが、学費などの納入金額は国公立看護大学よりも高くなる傾向にあることには注意しましょう。
入学難易度を偏差値で測ると、最も難しいのは国公立看護大学、続いて私立看護大学、そして専門学校という順序が見えてきます。
ただし表内の偏差値は全体的な傾向に留まるため、志望校選びの際に受験する大学・学校の偏差値をしっかりチェックすることが大切です。
続いて、看護大学と専門学校の学習環境・卒業後進路の違いについて整理しておきましょう。
看護大学は専門学校より1年長く学べるため、看護学以外の学問に触れる機会も多くなります。
また、専門学校に比べると授業や実習のスケジュールにやや余裕があると言えるでしょう。
一方で専門学校では、限られた時間で看護職のスキルを獲得できるよう、実践的な学びが多いのが特徴です。
看護師が求められる現場での臨床実習が豊富で、早期からリアルな経験を経てノウハウを獲得できる環境があります。
なお、卒業後の進路については大きな差はありません。
しかしながら、日本看護協会公表の最新データ「病院看護実態調査」によると看護大学は専門学校に比べて卒業後の看護師の初任給がやや高い傾向にあります。
看護師試験に合格する
2つめのステップとして「看護師試験に合格する」ことが求められます。
看護師国家試験は毎年2月に行われ、1日で完結するスケジュールとなっています。
受験するためには、看護師を目指せる看護大学・専門学校の卒業生か、同年度に卒業見込みの学生であることが必要です。
つまり、看護大学であれば4年生、専門学校であれば3年生のタイミングで試験を受けることになります。
試験科目の例としては、「人体の構造と機能」「疾病の成り立ちと回復の促進」といった医療に関する内容から「健康支援と社会保障制度」のような制度に関する内容、そして「基礎看護学」「成人看護学」「小児看護学」などの看護学領域からの出題となっています。
なお、必修問題と一般問題・状況設定問題の2つに分類されます。
続いては、合格基準と試験結果について確認してみましょう。
まずは合格基準です。
合格基準点 | 配点 | |
必修問題 | 40点 | 50点 |
一般問題・状況設定問題 | およそ150~170点 | 250点 |
※下表の参考データと同様
必修問題と一般問題・状況設定問題それぞれの合格基準点をクリアすることで、看護師国家試験に合格することになります。
必修問題は例年80%得点である「40点」が合格基準点となっています。
一方で、一般問題・状況設定問題は毎年の合格基準点が異なることに注意しましょう。
試験対策にあたって目標設定をする目安としては、65%得点程度と考えておくのが良いでしょう。
次に試験結果をチェックしましょう。
直近で公開されている試験結果データをまとめたのが以下の表です。
◆看護師国家試験結果
受験者 | 合格者 | 合格率 | |
第112回 | 64,051名 | 58,152名 | 90.8% |
第111回 | 65,025名 | 59,344名 | 91.3% |
第110回 | 66,124名 | 59,769名 | 90.4% |
第109回 | 65,568名 | 58,513名 | 89.2% |
第108回 | 63,603名 | 56,767名 | 89.3% |
例年の傾向として、合格率は90%前後を推移していることが分かります。
看護大学・専門学校での学びを着実に身につけ、試験対策を怠らなければ非常に高い割合で合格できる試験と言えるでしょう。
就職する
看護師になる最後のステップは「就職」です。
看護学生が就職先を探す方法としては、他学部生の行ういわゆる「就活」と大きな差はありません。
看護大学であれば3年生後半、専門学校であれば2年生後半から就職に向けた準備がスタートします。
就職先を探す方法としては、気になる就職先を求人情報サイトで検索したり、医療機関などが出展する合同企業説明会に参加したりするのが一般的です。
また、実習先や看護大学・専門学校に地域から寄せられた情報から求人情報を手に入れることもあります。
なお、看護師の活躍する就職先は病院だけではありません。
地域に出向いて看護を行う訪問看護ステーションや、高齢者の介護を行う介護保険施設なども看護師の活躍の場としてメジャーと言えます。
また、多職種との連携を通して地域を支える保健所や、市区町村などの行政機関で働く看護師も一定数存在しています。
幅広い就職先があるため、納得できる就職のためには入念な準備が欠かせません。
自分自身が看護師としてどう働きたいのか、看護をとおして何をやりたいのかをじっくり考えましょう。
自分が選ぶべき進路は、自己分析をしっかり行ったら見えてくるものと言えます。
自分のスタイルで看護師としてキャリアを積むためにも、「就職する」ステップにはじっくり時間をかけることがおすすめです。
社会人から看護師になる人の割合
実際のところ、社会人から看護師になる人の割合はどの程度なのでしょうか?
厚生労働省公開の最新データで確認していきましょう。
以下は看護大学・専門学校入学者を年齢別に整理したものです。
◆令和4年度 看護大学・専門学校入学者の年齢
20歳未満 | 20~29歳 | 30~39歳 | 40歳以上 | |
看護大学 | 26,064名 | 390名 | 44名 | 19名 |
専門学校 | 881名 | 30名 | 9名 | 2名 |
入学時点での年齢を確認すると、やはり高校卒業時の年齢が含まれる「20歳未満」が最も多いです。
とは言え「20〜29歳」の入学者数は看護大学・専門学校を合わせて400名以上となっています。
また、「30〜39歳」「40歳以上」の入学者も数十名単位で存在していることが分かりますね。
20歳以上の入学者を合算すると全体の約1.8%、およそ55名に1名が20歳以上と言えます。
ある程度の定員を持つ看護大学・専門学校には、学年に1〜2名ほど20歳以上の看護学生がいると考えられますね。
この割合は例年同様の傾向がみられるため、看護師を目指して進学する人は決して少なくないと結論付けられます。
年齢にかかわらず看護師を目指す人がいる理由としては、看護師国家試験に年齢制限が設けられていないことが挙げられます。
つまり、看護大学・専門学校を卒業する見込みが立てば、誰であってもチャレンジできるのが看護師国家試験です。
それまでの学歴・職歴にかかわらず、新しい目標として追いかけられるのが看護師という職業と言えるでしょう。
社会人から看護師を目指す際に知っておきたいこと
最後に、社会人から看護師を目指すうえで知っておきたいことを紹介します。
本格的に看護師を目指すために押さえておきたいポイントとなるので、しっかりチェックしてくださいね。
必要資金のシミュレーションをしておく
そのため、計画的な資金計画をイメージすることが入学準備の第一歩と言えます。
前述したように、看護師を目指すうえで看護大学・専門学校への進学は必須のステップです。
学費は少なく見積もって約250万円と、決して少額ではありません。
また、学費以外にも通学費や教材費、下宿をする場合は家賃や水道光熱費も必要になるでしょう。
高学年になるにつれハードスケジュールになる
4年制の看護大学を例に挙げてみましょう。
1年生から2年生のカリキュラムは、講義や簡単な実験などが中心となっています。
しかし3年生になると、実際の臨床現場での実習がカリキュラムの中心に据えられるのが一般的です。
数週間単位の実習が複数あり、いずれも必須科目として設定されています。
当然ながら実習後にはレポート課題が求められるため、平日だけでなく土日も多忙な生活になるでしょう。
4年生になると、3年生に比べて実習の割合は落ち着きますが、就職活動や卒業論文に時間を割く必要が生まれます。
3年制の専門学校においても同様の傾向があり、学年が上がるにつれて実習が増え、就職活動・卒業論文との同時進行が求められるようになります。
慣れない環境で次から次へとやるべきことが増えることを覚悟して、身辺整理をして看護学生生活を過ごすことがおすすめです。
面接試験の対策を大切に
最後のポイントは、看護大学・専門学校の入試対策についてです。
国公立看護大学をはじめとし、多くの看護大学・専門学校では入試に面接を必須科目としています。
社会人経験があるからこそ大切にしたいのが面接対策です。
評価基準があるとは言え、面接官という「人間」の主観が加わる面接においては、社会人経験があることがプラスにもマイナスにも働きうることを理解しておきましょう。
つまり、「社会人経験があるのに…」と思われる可能性がある一方、「さすが社会人なだけあって…」と思われる可能性もあるということです。
看護師への第一歩を確実にクリアするには、特に「面接対策」にこだわって入試対策を行うことがおすすめです。
まとめ
本コラムでは、社会人から看護師になるための方法やポイントなどについて紹介しました。
コラム内容を整理すると以下のとおりです。
- 看護師になる3ステップは①看護大学・専門学校に入る、②試験に合格する、③就職する
- 社会人から看護師になるデメリットは少なく、年齢にかかわらずチャレンジできる
- 入学前の資金計画、入学後スケジュールの理解、入試対策が重要
社会人から看護師になるイメージを明確にして、新しいキャリアに向けてスタートダッシュをかけましょう。
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▶資料請求して特典を受け取るこの記事の監修者 山崎 敬太
筑波大学人間学群心理学類 卒業。
大学卒業後、英語講師として、難関大・医学部・看護学部・看護学校の志望者計300名以上に指導経験をもつ。
その後、小中高生向けキャリア教育事業の施設長として、生徒やご家族へ進路の相談援助を実施。
現在は医学部・看護学部・看護学校受験向けメディアのライターとしても活動中。
医学部や看護学部・看護学校の受験生に向けて、役立つ入試情報等を発信。