本コラムでは、看護大学(看護学部)の受験を考える人が知っておきたい「志望理由書」について整理していきます

看護大学への進学を目指すには、看護大学の入試の特徴を理解することが大切です。

特に、看護学部合格のためには「志望理由書」を理解し対策を重ねておくことが欠かせません。 

目標達成に向けて、志望理由書についての知識を深めてくださいね。

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志望理由書の重要性

看護大学入試では、看護の道を志す人物像を確認する書類として志望理由書が重視されています。

さまざまな入試日程に課される志望理由書ですが、特に総合型入試や推薦入試において必須とされることが多いです。

また、大学卒業後や社会人経験後の、いわゆる再受験が受験できる入試日程でも必須になっています。

志望理由書に記入する内容は、大きく分けて次の3つです。

  • 看護学を学びたい理由
  • 同大学の看護学部を志望する理由
  • 看護を学んだ先の将来の目標

人物像を確認するために重要な志望理由書は、大学の看護学部はもちろん、看護系の専門学校や短期大学においても同様に重視されています。

そのため、看護学を学びたい受験生は共通して志望理由書の対策が欠かせません

大学によって提出書類の様式は異なりますが、記入するポイントは共通していると思って差し支えありません。

そのため、志望先にかかわらず、看護学部の受験を目指す人は志望理由書の作り方のポイントを理解して早期に対策をスタートさせることが大切です。

志望理由書を書く前に確認してまとめておくべきこと

看護大学入試で提出が必要な志望理由書には、前述した3つのポイント(看護学の志望理由・その大学の看護学部を志望する理由・将来の目標)を記入する必要があります。

3つ全てのポイントをふまえた志望理由書で、志望大学へ「私は貴校で看護学を学ぶにふさわしい人物像です」と伝えることが目的です。

目的に沿った志望理由書を作成するためには、次のような事前準備が大切です。

具体的な事実から「看護学の志望理由」を言語化する

志望理由書という名の通り、まずは志望理由を明確にする必要があります。

幼少期に看護を受けた経験、医療従事者とのかかわり、看護師にスポットをあてたテレビ特番や映画など、看護学を学びたいと思った何かしらのきっかけがあるはずです。

どんなエピソードでも問題ありませんが、あいまいな記憶をしっかり言語化することから始めましょう

看護学を志すきっかけを言語化することで、志望理由書をスムーズに書き始めることができるようになります。

志望する看護大学の特徴を把握する

「数ある看護学部の中から、あなたはどのように志望大学を選びましたか?」

志望大学に合格するためには、この問いへの明確な答えを持っておく必要があります。

全国には800校以上の看護学を学べる大学・短大があり、それぞれが独自の特色を持っています。

全てを把握する必要はありませんが、志望大学の看護学部の特色を可能な限り調べておくことは欠かせません。

大学公式HPやパンフレットなどを熟読し、自分が共感できる内容を見つけてみてください

将来の目標を言語化する

看護学部への入学を考えるからには、看護学部を卒業した先の目標があるはずです。

自分がやりたいことや、目指したい職業があって、そのプロセスとして看護学部を選択するのが一般的です。

看護学部への入学を通過点と捉え、その先にある目標を明確にすることが大切です

逆に言えば、将来の目標がぼんやりしていると看護学部の専門的な学びに苦労することになります。

看護学部へのモチベーションがしっかりあるか確認する意味も含め、将来の目標を言語化しておきましょう。

合格する書き方のポイント

本章では、看護学部への合格の可能性を引き上げる志望理由書の書き方を紹介します。

以下のそれぞれのポイントを押さえ、納得のいく志望理由書を作成してみてくださいね。

志望理由書にふさわしい文章表現や書字を徹底する

志望理由書は大学側が受験生に提出を求めるフォーマルな書類のひとつです。

そのため、正しい敬語と丁寧な書字を徹底的に意識して作成することがポイントと言えます。

正しく敬語が使えていなかったり、整っていない文字が書かれていたりすると、大学側がその受験生を「最低限のことができていない」とみなす可能性が高いです。

文章表現や書字で悪い印象を与えてしまうと、どれだけ素晴らしい志望理由や将来像が記入されていても評価されることはありません。

「正しく敬語を使うこと」「丁寧な文字を書くこと」という2点は、志望理由書を提出する受験生に求められる最低限のマナーと言えます。

志望する看護大学の特色と将来の目標をセットで表現する

看護学を学べる大学が数多くあるからこそ、その看護大学でなければならない点を盛り込みましょう。

しかし、志望大学の特色をただ単に羅列するだけでは合格することはできません。

志望理由書の目的は自分自身の人物像をアピールすることであり、志望大学について情報収集を行ったことをアピールするものではないからです。

そのため、事前準備で志望大学の特色を理解したら、その中から「将来の目標」に紐づけられる内容をピックアップしてください。

看護学部の特色としてよく挙げられるのは「実習の多さ」「少人数での学び」「ネットワークの広さ」「先進的な研究」などです。

どんな看護学部にも上述したものを含む複数の特色がありますが、その中から将来の目標に近いものに絞って触れるようにしましょう。

志望理由に一貫性が生まれ、さらに志望する看護学部にフィットする人物像であることが伝わるようになりますよ。

自分自身が納得している内容に書き上げる

面接や小論文などの試験がある場合、特に重要となるポイントです。

「思っている内容とちょっと違う」と自分自身が感じているまま志望理由書を提出してしまうことで、後で矛盾が起こる可能性が生じます。

説得力があり共感できる志望理由を記入しても、面接での受け答えや小論文での論述との矛盾があると逆効果です。

プロの講師に指導してもらうことはもちろん必要ですが、自分自身の思いが一切盛り込まれていないものは避けましょう。

より合格の可能性を高めるアドバイスを参考にしつつ、自分の本当の思いや伝えたいことをしっかり記入することが不可欠です

注意したいNGな書き方

続いては、志望理由書の書き方で特に注意したいポイントを3つ紹介します。

口語表現が混ざる

最も避けたいのは、書類作成におけるNGポイントに触れてしまうことです。

志望理由の内容以前に、その受験生の真剣さが疑われる可能性があります。

受験生のよくあるミスとして、話し言葉と書き言葉を混同してしまう点が挙げられます

「お父さん、お母さん」「…だなと思いました。」「なので、…」といった表現が特に多い誤りです。

的確な情報伝達力が求められる医療従事者の一員を目指す覚悟が志望理由書から伝わらなくなってしまいます。

「父、母」「…と感じました」「だから、…」というように、正しい書き言葉を使って志望理由書を書き上げましょう。

「看護学」への志望理由にとどまっている

看護を志すきっかけとなったエピソードは、多くの受験生がしっかり書き上げられる内容です。

一方で、志望する看護学部のリサーチ不足により不合格になる受験生が多いと言えます。

志望する看護学部の特色について触れられていない場合、「どの看護学部でも良いのでは?」と思われる可能性があります。

どこの大学でも良いから看護学を学びたい学生と、自分たちの看護学部で看護学を学びたい学生であれば、当然後者を選びますよね。

そのため、志望する看護学部への志望理由もしっかり記入する必要があります

自分の口で説明できない内容になっている

志望理由を言語化する手間を省くためにネット上で手に入れられる例文などをそのまま流用するのはNGです。

自分の思いや言葉が入っていない志望理由書は、面接や小論文との整合性がとれなくなります。

また、経験豊富な合否判定の担当者には嘘がすぐ見破られると考えたほうが良いでしょう。

看護学部に合格するためには、時間をかけて志望理由を言語化し、自分自身の言葉で伝えることができる文章を作り上げることが不可欠です。

志望理由書に役立つ例文

最後に、志望理由書に役立つ例文とポイントを紹介します。

志望理由書を作成する際の参考にしてくださいね。

【例】

「私は患者様にもご家族にも寄り添える看護師を目指しています。私の祖父は体が弱く、入退院を繰り返していました。幼少期の私にとって、大好きな祖父が何度も入院していたことはとても不安でした。

しかし、ある看護師の方のおかげで私は安心して生活することができました。その看護師の方は、祖父の見舞いに病院を訪れるたびに私に声をかけてくれました。

今日は元気がないから、優しく声をかけてあげてね。とアドバイスをくれたり、昨日は一緒にお茶を飲んで、楽しそうに話されていたよ。と、祖父の様子を共有してくれたりしました。

この経験から、私は看護師という職業への憧れを抱き、患者様にもご家族にも寄り添える看護師になりたいと考えるようになりました。」

「貴学を志望したのは、看護現場でのご家族とのかかわりを実践的に学べるカリキュラムに魅力を感じたためです。

また、少人数での実践的な学びの場があることを知り、医療現場で必要とされる看護の知識や技術をより深く学べると考えました。

貴校に入学後は、積極的な姿勢で看護師として必要な知識や技術を学びたいと考えています。」

例文のポイントは、実体験に基づいたエピソードが具体的に盛り込まれている点です

自分だけの体験を伝えることができるからこそ、看護学への熱意や決意が表現されています。

また、志望する看護学部ならではの特色と自分の将来の目標に整合性が取れている点も重要です。

将来の目標が「ご家族にも寄り添える」であり、志望する看護学部の特色のうち「ご家族とのかかわり」をピックアップしています。

この受験生が、この看護学部を志望するにふさわしい志望理由書になっていると言えます。

まとめ

本コラムでは、看護学部を目指す受験生が知っておきたい「志望理由書」について詳しく確認しました。

看護学部への進学にあたっての志望理由書の重要性をはじめ、合格に近づく志望理由書の書き方のポイントについてもチェックしました。

丁寧な事前準備をもとに、自分だけの志望理由書を作り上げることが看護学部合格への最短ルートです。

志望理由書の目的を明確に理解し、志望する看護学部への合格を目指しましょう。

この記事の監修者 山崎 敬太

山崎 敬太

筑波大学人間学群心理学類 卒業。

大学卒業後、英語講師として、難関大・医学部・看護学部・看護学校の志望者計300名以上に指導経験をもつ。

その後、小中高生向けキャリア教育事業の施設長として、生徒やご家族へ進路の相談援助を実施。

現在は医学部・看護学部・看護学校受験向けメディアのライターとしても活動中。

医学部や看護学部・看護学校の受験生に向けて、役立つ入試情報等を発信。