医学部受験生のみなさんは、複数の大学に併願することが一般的でしょう。
軽視されることの多い科目ではありますが、国立大学では一般選抜でも後期日程では小論文が課されることが多いですし、私立大学医学部を併願するのであれば、個別の対策が必要になってきますね。

実践例を参考に、ぜひ小論文対策を進めてみてください。

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小論文の出題形式3つ

小論文の出題形式としては、大きく分けて3つあります。

「〜について述べなさい」と、簡潔な課題が与えられたうえであなたの考えを述べる「テーマ型」の出題。
これは私立大学医学部での出題が多く、国立大学医学部ではほとんど見られません。

もう一つは、資料を読んで簡単に要約したり、あなたの考えを述べたりする「資料読解型」の出題。
国立大学医学部でよく見られる出題形式で、文章量も非常に多い傾向があります。
資料として英語長文を提示される大学も多くあります。
私立大学医学部では大学によっては特色が見られます。
資料読解型の派生型として、文章ではなく絵や写真、映像が資料として用いられる大学もあります。

最後に「現代文型」の出題です。
文章を読んで設問に回答するという形式なので、小論文というより国語の試験です。
一部の大学で見られる形式です。

大学によって大きく異なるからこそ、出題傾向のチェックが必須です。

いずれにせよ、まずは問題を読んで与えられたテーマと、書くうえでの形式上の注意点を把握しておきましょう。
医学部という性質上、医療に関連ある題材も見られます。

それでは次に国立大学、私立大学に分けて、それぞれの特色を見ていきましょう。

出題傾向の違い【まとめ】

国立大学医学部一般選抜前期日程

そもそも小論文の試験が課されない大学がほとんどです。
課される大学の医学部を受験する場合は、公開されている過去問をもとに傾向を把握し、対策を進めておきましょう。

一般選抜前期日程で小論文を評価に含めている国立大学医学部は、以下の2校です。

群馬大学医学部

個別学力検査では、数学、理科、小論文(I)が課されます。
各150点なので、小論文の占める比率も非常に高いです。

「理系と英語の能力を問うことがあります。自然科学、人間科学などの勉学に必要な理解力、思考力、文章表現力などを含む総合力を判定する問題を課します。なお、英文の資料を用いて出題することがあります。」と記載されています。

実際、公開されている過去問を見ると、4ページほどに渡る英語の長文を読んで、10題ほどの小問と論述に答える形式です。
小論文の試験というよりかは、英語の試験に近い形式です。

受験生の意見を求める問題はあまり見られず、あくまでも本文に即した回答を求められます。

参考までに、これまでの入試における小論文の題材は以下の通りでした。

2022年
「The gift of the body」

2021年
「Mandatory infant & childhood immunization: Rationales, issues and knowledge gaps.」

2020年
「Distinguishing Three Unprofessional Behavior Profiles of Medical Students Using Latent Class Analysis.」

2019年
「The Limits of the Human Mind and the Future of Medicine.」

2018年
「The Surprising History of New Ideas by Steven Poole.」

参照:群馬大学 小論文・総合問題実施状況一覧

横浜市立大学医学部

テーマ型の出題です。

「与えられたテーマについて、1,000 字程度で論述する。 論理的思考力、記述力などを評価します。」とあります。
配点は公開されていませんが、「数段階で評価します。」と記載されています。

2019年
「高校で稲刈りの作業体験を行った。農家のご夫婦からお礼におにぎりを戴いたが、知らない人が握ったおにぎりは食べられないと、多くの生徒は残してしまった。指導者の立場として生徒や農家の方とどのように話すか。(原文抜粋)」

国立大学医学部一般選抜後期日程

一方、後期日程では多くの大学で小論文試験が課されますし、評価の対象にも含まれますので、個別の対策が必須です。

前期日程が終わってから後期日程の試験日までは、日程的に余裕があるので、前期日程が終わってから少しでも対策しておけると安心ですね。

特に、後期日程で学力試験が課されない大学に出願する場合は、小論文対策を十分に行っておきたいところです。

前期日程同様、英語小論文が出題される場合もあります。

後期日程で小論文が課される大学について、大学ごとの配点と、出題形式の特徴をまとめたので、参考にしてください。

大学名小論文の得点/2次総合得点出題形式
秋田大学医学部100/300資料読解型2題、英語小論文あり
東京医科歯科大学医学部100/200資料読解型、現代文型計2題
富山大学医学部350/350 ※面接含む評価資料読解型2題、英語小論文あり
福井大学医学部100/220資料読解型2題、英語小論文あり
浜松医科大学医学部100/350資料読解型1題
三重大学医学部200/300資料読解型2題、英語小論文あり
香川大学医学部200/300資料読解型4題、英語小論文あり
山口大学医学部300/500資料読解型2題、英語小論文あり
鹿児島大学医学部200/320資料読解型1題
琉球大学医学部100/300資料読解型4題、英語小論文あり

※小論文を課す大学、配点、出題形式は、年度によって変更になる可能性があります。

私立大学医学部一般選抜

多くの国立大学医学部一般選抜前期日程では小論文が課されない一方で、ほとんどの私立大学医学部では一般選抜においても小論文が課されます。

大学によってかなり出題傾向も異なるので、過去問を参考にして早めに個別の対策を進めておきましょう。

点数化される大学、数段階で評価される大学、医療従事者としての倫理観のチェックとして使われる大学など、比重は様々です。
特待生選抜に用いられる場合もあります。

特別選抜入試

特別選抜入試(学校選抜型入試、総合選抜型入試)と、総合入試においては基本的に国立大学、私立大学を問わず小論文が課されます。
比重としても大きいものになるので、早い段階から小論文の練習を積んでおくと良いでしょう。

見直しチェックリスト

小論文のチェックポイント

誤字脱字の有無

国語の試験ではありませんが、あまりに漢字のミスなどが多いと読みにくいですし、印象も悪くなってしまいます。

形式に沿っているか

字数制限を守りましょう。
(当たり前ですが、字数は少なすぎても、はみ出してしまってもいけません。8割以上が目安です。)

である調に統一しましょう。(です・ます調はあまり好まれません。両者を混合してしまわないよう、注意しましょう。)

問題文の趣旨に沿っているか

テーマに沿って書くのは勿論のこと、「要約しなさい」、「経験を交えて」など、付帯の条件がある場合は、必ず守りましょう。

論理性があるか

論理の飛躍はありませんか。
書いているときはなかなか気付けないものです。
書き始める前の草稿段階、そして書き上げた後にも読み直して確認しておきましょう。

医師としての適性があるか

医師としての資質を疑われるような意見を書いてはいませんか。
医療従事者としての適格を確かめるという試験の性質上、優生思想、差別、人命軽視などに繋がるような意見は書くべきではないでしょう。

小論文の添削

書き上がったら必ず見直しましょう。
いくら過去問を解いても、そのままにしては学習効果が薄れてしまいます。

まずはチェックポイントを参考にして自分で添削してみましょう。

自分では客観的に添削するのが難しいので、家族、先生に読んでもらうことも大事です。

しかし、試験本番では当たり前ですが自分で見直しをすることになるので、他人任せにしないで添削力も磨いておきましょう。

書き方実践編

参考として、慶應義塾大学医学部の2019年入試のテーマ型の小論文を例に考えてみましょう。

試験形式の把握

試験時間は60分で、字数は600-800字と指定があります。
問題用紙には書き込み不可で、解答用紙のメモスペースに構成を残しておくよう指示があります。

テーマは「児童虐待の原因と予防法について述べよ」というものでした。
2018年度は児童虐待事件が相次いでニュースになりましたね。
受験勉強で忙しいとはいえ、医療・福祉に関連するニュースは押さえておきたいものです。

問題文を読んで、あなたは何を考えたでしょうか。
原因予防法について、結論を先に箇条書きでざっくりとで良いのでメモしておきましょう。

ご自身の経験を交えつつ書けると、独自性が出ますが、児童虐待というテーマの性質上、難しいでしょうか。
ここでは知識や考えに沿って書き進めていくことにします。

原因

まずは児童虐待に至る恐れのある3要因を挙げました。

1、保護者側のリスク要因
 精神障害、被虐待経験、育児への未熟さ等

2、子ども側のリスク要因
 乳児期、障害児、育てにくさがある等

3、養育環境のリスク要因
 未婚、社会的孤立、DV等

予防法

次に考えられる解決策を提示していきます。

1、リスクアセスメント指標
 児童虐待に関連する様々なリスク要因を客観的に評価する

2、家庭へのアプローチ
 保健機関や医療機関が未然に注意を払い、必要な支援を行う

3、子どもへのアプローチ
 検診や、保育・教育の現場で、リスクを未然に把握するとともに、早期発見に努める

※以上の原因と予防策は厚生労働省の資料を参考にしています。

作成の実践

ここでは簡単に流れのみを説明します。

まずは導入部となる序論です。

「2018年には児童虐待事件が度々報道され、大きな社会問題となった。」等、問題文のテーマに沿って簡潔に書きましょう。

ここから本論で原因を述べていきます。

先ほど述べた3要因を、一つ目は…、二つ目は…と、順序付けて書いていくと、読みやすいですね。
次に本論の続きとして、考えられる予防策を記述していきます。

最後に結論です。
これまでに述べた意見を簡潔にまとめます。

あくまでも挙げた例は一例であって、模範的な解答を書くことよりも、前に述べたポイントを満たした読みやすい文章を書くことが大事です。

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