入試改革によって、医学部入試の生物ではますます思考力、論述力が重視されていくでしょう。

生物選択で医学部を受験する皆さんの中でも、「用語が覚えきれない」「学校の授業だけでは論述対策ができない」とお困りの方の一助になるかと思います。
2021年入試から始まる大学入学共通テストにも焦点を当てて、生物の勉強法を解説します。

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生物の出題範囲を確認

まずは出題範囲を押さえましょう。
学習指導要領によると、生物基礎・生物の範囲は以下の通りです。

生物基礎

(1)生物の特徴

 (ア)生物の特徴
 (イ)遺伝子とその働き

(2)ヒトの体の調節

 (ア)神経系と内分泌系による調節
 (イ)免疫

(3)生物の多様性と生態系

 (ア)植生と遷移
 (イ)生態系とその保全

生物

(1)生物の進化

 (ア)生命の起源と細胞の進化
 (イ)遺伝子の変化と進化の仕組み
 (ウ)生物の系統と進化

(2)生命現象と物質

 (ア)細胞と分子
 (イ)代謝

(3)遺伝情報の発現と発生

 (ア)遺伝情報とその発現
 (イ)発生と遺伝子発現
 (ウ)遺伝子を扱う技術

(4)生物の環境応答

 (ア)動物の反応と行動
 (イ)植物の環境応答

(5)生態と環境

 (ア)個体群と生物群集
 (イ)生態系

生物(3)遺伝情報の発現と発生に関する出題が群を抜いて多く見られます。2020年10月には、CRISPER-Cas9がノーベル化学賞を受賞したことが話題になりました。
ゲノム編集始め、遺伝の分野はまさに新たな研究が盛んに行われている分野なので、これからもこの傾向は変わらないでしょう。

医学部では、医学の内容に関連して生物基礎(2)ヒトの体の調節の分野からの出題も見かけられます。
医療系の問題と絡めて出題されることもありますが、マニアックな知識問題は差がつきません。
面接試験や小論文の対策として医療のニュースに目を通すことは大事ですが、特別の対策をする必要はないでしょう。

難関大学医学部では、分野融合的な問題や、目新しい分野の出題が見られることもあります。

センター試験、どう変わる?
大学入学共通テストの概要

センター試験からの変更点もあるので、まずは共通点と相違点を確認しておきましょう。

センター試験大学入学共通テスト
試験時間60分60分
大問数大問6題(選択問題あり)大問5〜6題(全問必答)
満点100点100点
解答形式マーク式問題マーク式問題
分野単元別分野融合的
平均得点率60%50%

受験生の皆さんが1番心配に思うのは、大学入学共通テストの過去問がない、ということでしょう。
独立行政法人大学入試センターのホームページから「その他これまでの検討状況等」にアクセスすると、平成29・30年に行われた試行調査(プレテスト)の試験問題や解答を見ることができます。
https://www.dnc.ac.jp/sp/kyotsu/daigakunyugakukibousyagakuryokuhyoka/index.html

過去問としての年数は少ないですし、ブレもありますが、現状ではこれを参考に対策するしかないでしょう。
実際に解いてみて感じたセンター試験との違い、対策するうえで心掛けるべきことを解説します。

平成29年度試行調査について見てみましょう。
大問数は6問、設問数は全部で32問ありました。

正答選択者より特定の誤答選択者の割合が多い「引っかかりやすい難問」が11問も見られます。
全体的に正答率の低い問題が多い傾向にあります。
時間的にも60分では足りないと感じた受験生も多かったようです。
じっくり考えて答えを出すのにはもう少し時間が欲しいところでしょうか。

資料の読み解き重視

「教材で扱われる用語が膨大となっていることが指摘される中で、科目の狙いを実現するため、主要な概念につながる重要用語を中心に整理する」ことが指導要領の方針とされ、単純な知識問題は見受けられませんでした。

真面目に教科書に出てくる用語を覚えただけではとても太刀打ちができません。資料やグラフを読み解いて考える問題が中心です。
生物の知識がなくても、問題文と資料を見れば解けてしまう問題もあるという意味では、努力が報われないと感じる受験生もいるのではないでしょうか。
翌年の平成30年度試行調査においてはやや改善されているものも、思考型の問題と知識型の問題のバランスに欠ける面はありました。

生物の勉強法

勉強法

では、一体どのようにして対策を進めれば良いのでしょうか。
学年ごとに勉強法を解説します。

まず用意するべきものは、生物・生物基礎の教科書と資料集です。
現役生でしたら学校で配られているでしょう。
この3冊はどんな参考書よりも大事なバイブルとなります。

高校1年生

勉強法としては、まずは教科書に出てくる重要用語を理解することに努めましょう。
これは500〜600語ほどあります。
覚えることよりも教科書の本文を読んで理解するのがメインです。
イラストや図は理解の助けになります。
いくら思考力重視といっても、知識をおざなりにしていい訳では決してありません。
基礎力あってこその、知識に基づいた思考力が試されるのです。
資料集の巻末には用語集がついていることも多いでしょう。
重要用語と簡単な解説が載っているので、繰り返し復習しましょう。

それならばまとめノートを作ろうと考える方も多いかもしれませんが、それはあまりお勧めしません。
学校の教科書は簡潔かつ分かりやすく必要事項がまとまっているので、これを活用しない手はありません。
付け足したい事項や語呂合わせ、イラストなどを空白に書き足すだけで、あっという間にあなただけの教科書が出来上がります。

また、高校2〜3年生で習う範囲だからといって学校で習うまで待っていては、演習が足りないまま受験を迎えることになってしまいます。
授業で習った範囲、習っていない範囲に拘らず、学習を進めておきましょう。

高校2年生

重要用語を理解してある程度覚えたところで、標準レベルの問題を解くフェーズに移りましょう。
ここでは発展的な思考問題は飛ばしてしまっても構いません。
問題演習を重ねることで、覚えていない知識を補填するとともに、理解をさらに深めましょう。

とはいえこの段階ではまだ理科に必要以上に時間をかける必要はありません。
それよりも英数に時間を割きましょう。
なぜなら英数は積み重ねなので、得点を伸ばすにはかなりの労力と時間が必要だからです。
それに比べて理科は比較的、努力が点数の向上に直結しやすい科目です。
高校3年生の1年間で一気に得点力を高めることが可能なのです。
高校3年生の1年間で、演習にどれだけ時間をかけられるかは、合格に直結します。
高校2年生のうちに各科目、基礎を盤石にしておきましょう。

高校3年生

実際問題として、現行の中高の生物の授業は重要用語の解説を始めとするインプット型なので、学校の生物の授業だけでは対策として不十分です。
思考力と記述力の養成はプラスαとして各自で行う必要があります。

標準的な問題を高校2年生で一通り解けるようになったら、知識型の短答式の問題に取り組んでいきましょう。
記述式の問題は受験生に敬遠されがちですが、まずは典型的な知識ベースの論述問題を解けるようにしましょう。

同時に思考力が問われる考察型の問題にも積極的に取り組んでいきましょう。

大学入学共通テスト対策

問われる力は知識、思考力です。
従来のセンター試験に比べ、思考力が重視されるようになりました。

思考力が重視されるからといって基礎的な勉強を怠って良い訳ではありません。
重要な用語を知らないと、そもそも問題文の理解ができません。
ただ、用語の丸暗記では意味がありません。
他の用語、分野との繋がりを常に意識しましょう。

では実際に大学入学共通テスト型の実験考察問題に取り組む際のポイントを解説します。

リード文はポイントを拾っていく

大学入学共通テストは問題の分量に対して試験時間が限られているので、リード文を読むのに時間をかけ過ぎないことが大事になってきます。
下線部の前後など、必要な部分だけを拾いましょう。
適宜必要であれば表などにまとめておくと良いでしょう。

必要なのはデータを読み解く力

物理や化学に見られるような複雑な計算問題はほとんど出題されません。
具体的な数値よりも、グラフや表を読み取って、傾向を読み取ることが大切です。

2次試験対策

大学入学共通テスト同様、知識や思考力が必要なのは勿論ですが、難関大学医学部の2次試験ではさらに発展的な思考力と論述力が求められます。
対策を始める時期としては、高校3年生からとなります。
そのためにも高校2年生までには知識を固めておくのが大事です。

他の科目とも共通する話ですが、試験を受ける際に気を付けるべきなのは時間配分です。
生物は問題文の量も、記述量も多いので、計画的に時間内に解き切りましょう。
理系的な論理力が求められる一方で、文章を読む力、書く力が求められるという意味では文系的側面も強い科目です。

知識問題のポイント

難関大学医学部で問われる知識問題は、マニアックな問題はそうありません。
重要知識を抑えられていれば、さして苦労しないでしょう。
論述問題にできるだけ時間をかけられるよう、手早く済ませてしまいましょう。

前述の出題範囲で言うと、生物基礎(3)生物の多様性と生態系や、生物(1)生物の進化は、暗記色が強い分野です。

一部私立大学医学部では膨大な穴埋め問題や、マニアックな知識問題が出題されることも多くあります。
高校3年生の秋冬ごろから、併願する志望校に合わせて個別の対策をしましょう。

論述問題のポイント

論述問題には、知識を問うものと、考察を書かせるものの2種類に分けられます。
それぞれについて見ていきましょう。

知識論述

1〜2行の短めのものが多いです。
加点要素となるキーワードを入れることを意識しましょう。
自己採点するときも意識するポイントは同じです。
加点要素1つにつき1点として、まずは模範解答の加点要素を抽出しましょう。
例えば、「細胞説について説明しなさい。」という問題について考えてみましょう。
自分なりの解答をまずは作ってみてください。

一例ですが、「細胞説とは、全ての生物は細胞からなり、細胞は生物の構造上、機能上の最小単位であるという説である。」というように解答できます。
この場合、加点要素は①全ての生物は細胞からなる、②構造上の単位である、③機能上の単位である、の3つとなります。
この3つを満たしていれば満点の解答です。
自己採点してみましょう。

よく出題される知識論述は丸暗記してしまって良いでしょう。
というのも、知識論述はできるだけ時間をかけず、かつ、確実に点を取りたいからです。
自分なりに、よく出る問題について加点要素をまとめた論述集を作ると良いでしょう。

実験考察論述

2〜3行ほどで理由や考察を書かせる問題です。
難関大学医学部では、特にこのタイプの問題の出題が多い傾向にあります。
(実験考察問題でも選択肢が設けられている場合もありますが、対策は変わりません)

大学入学共通テストよりもリード文が長く、資料の数も多いことが特徴です。
リード文を読み始める前に、小問に目を通しておくと良いです。
リード文はヒントの宝庫なので、読みながら重要なセンテンス、数値には印を付けておきましょう。
時に数ページにまたがる膨大な文章を後からまた見直すのは二度手間ですし、時間が勿体ないです。
複雑な条件設定の時はイラストや図、表に整理しておくと、問題を解くときの一助になるでしょう。

題材こそ見慣れないテーマのものも多いですが、焦る必要も、発展的な知識を無理に覚える必要もありません。
この手の実験考察問題は、テーマこそ違えど、解答のパターンが似通っている問題も多いです。
一部、発想力が求められる問題もありますが、まずは基礎的な知識と論理的思考力があれば解ける問題を攻略してしまいましょう。

また、自分で実験を考案しなさいという新しいタイプの論述問題の出題も見られます。

理科が不要、負担の軽い大学

どうしても理科の勉強が間に合わない、苦手が克服できないという場合は、理科が不要または負担の軽い大学を選ぶのも手です。
特に生物は、論述問題のあるなしで、対策にかかる負担が大きく異なります。

2次試験で理科が不要

旭川医科大学医学部、弘前大学医学部、秋田大学医学部、島根大学医学部、徳島大学医学部、宮崎大学医学部では、2次試験における理科の受験が不要です。
理科については大学入学共通テスト対策のみで良い、ということになります。
2次試験の記述対策が不要というのは、対策にかかる時間の大幅短縮になるでしょう。

2次試験で理科が1科目

帝京大学医学部では科目の選択によっては理科1科目で受験することが可能です。
また、東海大学医学部、兵庫医科大学一般B高大接続型でも理科1科目での受験が可能です。

2次試験の論述対策が不要

一部の私立大学医学部では2次試験でもマーク式の試験が行われます。
論述の対策が不要な分、対策にかかる時間も少なく済むでしょう。
これらの大学では比較的求められる水準も抑えられてはいますが、大学ごとに傾向が異なるので、個別の対策は必須です。

2次試験が課されない

共通テスト利用入試、いわゆる従来のセンター利用では、大学入学共通テストが1次試験の代わりになるので、個別学力調査を受ける必要がありません。
1次試験の足切りを突破すると、2次試験として面接試験、小論文などを受けることになります。
足切りのラインは9割前後と高い傾向にはありますが、こちらも論述対策が不要なので、割り切って大学入学共通テストの対策に時間と労力を割くのも戦略のうちでしょう。

ぜひ、戦略的に医学部の合格を勝ち取ってください。

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